アドベンチャーパートでのキャラクターレイアウト

ごぶさたしております。ちょびえです。あれ、前回の記事から一年ぐらいたってたわー。

最近ではアニメ演出の研究ばっかりやってまして旧来の知人・友人から
「一体どこへ向かっているんだ」
と言われます。いや、しょうがないじゃん。必要なんだもの。

さて、今日のテーマはゲームにおける「演出」ということで簡単な部分からいってみましょう。題材としてはアドベンチャーパートでのキャラクターレイアウトというところで。

そもそも演出ってなんなのか?

演出って言われてもなんだかパッとせずよくわかりませんね。え、なんでレイアウトの話なのに演出!?というのもあるかと思いますが。

ゲームという操作できる表現媒体を使ってお客様を魅力的な世界に引き込んだり、魅せたいシーンをより効果的にするために企て制作を持っていくというのが演出だと思っています。
なのでレイアウト指定も演出の範疇に入ります。

演出をあまり考慮しないとどうなってしまうのでしょうか。

ゲーム開発でよくある問題

開発後半。機能も出来上がってきた。だけど、あんなにがんばって作ったゲームがなんだかしっくりこない。何を変えれば良くなるのかわからない…という状況に陥ることがあります。

解決方法としては演出分かる人間に客観的にゲームを見てもらって、しっくりこない原因を探してみてもらうのが一番楽です。

お客様にこういった体験をしてほしいが今の状況だとそうなってない、という説明を貰えれば残工数を加味した改善案というのを提案してくれると思います。

まず第一歩目、ということでアドベンチャーパートでのキャラクターレイアウトを題材として見てみましょう。

※UIや細かいデザインレイアウトに関しては今回みません。

アドベンチャーパートでのキャラクターレイアウト

それでは設定面:

・キャラクターA子と、キャラクターB男がいます。
・A子さんは身長150cm、B男さんは身長175cmです。
・横長な画面構成で下部にはセリフウィンドウが表示されます。

問題だと思ってること:
・キャラクターをだして会話をしているが説明できないけどしっくりこない

この場合、どういうルールでキャラクターを配置して表示するのが良いのでしょうか?
まずはパターンを考えてみます。

1) 身長を無視して高さ一定で表示する

キャラクターの身長が明記されているのにパット見B男の高さがA子より低くなってしまっています。B男はA子より身長が高いので、自分が思っていた想像と表示されている状態が不一致だった、というのが問題に見えます。

こういった問題は別機能のアセット流用という場合にありがちなのですが、設定を知っている人からすると違和感につながるので一旦身長設定は無視して、違和感を軽減させるために高さをあわせる方向で考えてみます。

キャラクターを一定の高さで表示する事でキャラクター間の強度バランスが取り易くなります。

しかしながら、デメリットとしてキャラクターの身長感が全くわからなくなる、背景のパース感を無視してしまうという問題があります。
キャラクターの身長感がわからなくなると場合によっては世界観が崩れることがあります。

ゲームだからパース無視でOK!というのは流石にそろそろ言いづらくなってきている状況なので、パースがきつい背景は選ばない、ちょっとボカす、とかそういった小手先の技を使ったりします。背景のみからキャラINで背景がちょっとぼやけるとかですね。毎回使えるわけではありませんが。

この場合の背景はその世界のある場所にいるキャラクターと情景というより、あくまでイメージを想起させる程度のものとなります。

2) 身長感をだしてキャラクター間の差を表現する

一工夫入れて、リアル寄りに身長差を出したパターンです。見た目でこのキャラクターは身長が高い、低いというのが分かるのでキャラクター説明にもなります。
デメリットとしては、設定に手間がかかる上にキャラクター間で微妙にウソ調整しないとレイアウト上破綻するキャラクターの組み合わせが出てきます。

ただ、必ずしも身長差をだせばよい、というわけではありません。

リアルよりの設定にしたことでB男が想定より強く強大にみえすぎてしまうのであれば位置調整をします。エンタメなので多少の誇張、という範囲です。

3) 喋ってるキャラクター以外は出さない

3Dで別途キャラクターが表示されているゲーム中の会話などでよくみかけるパターン。

敢えて喋っている人以外出さない、心情にクローズアップするために寄り気味というのも場合によっては効果的です。
ただ、頻繁にキャラクターがかわるとパカパカして見づらい問題というのが浮上したりします。

この場合ある程度セリフは長く喋らせたり、重要ではないシーンでは顔を出さない、という選択もあります。
シナリオライティング段階で決めておかないと使いづらいものです。

結局どれを選べばいいのか

当然ながら、手法によっては実装やアセットの制作ルールも多少変わってしまいます。

開発期間にもよりますが、基本的には残工数と修正分量で考えます。
3の喋ってるキャラクター以外出さない、はシナリオ修正が多くなるので取れない。
2の身長差を出すのもアセット設定修正が多くなるので取れない。
1であれば多少の調整で終わるので、開発終盤であればこころらへんが落とし所、というところでしょうか。

理想であれば最初のプロトタイプの段階でバッチリと決めちゃいましょう。

結びに

単にキャラクターを表示して会話する、と言っても考え方はいくらでもあります。

今回の場合はかなり簡易化したモデルで扱いましたが、実際の場合デフォルメ度合い、キャラクターのディティール具合によっても選び方が変わってきます。
明確な意図を持ったキャラクターレイアウトをすることにより無秩序な配置から秩序的な配置にすることで作品内での一貫性というものもでてきます。

ゲーム開発はシステム開発以外のスキルセットも求められるので日頃から良い映像をみて考えてみると良いと思います。

それではよいゲーム開発ライフを!