ハイブリッド開催をやってみて
こんにちは、開発企画の佐島です。
10月25日、グリーグループの様々な技術チャレンジを紹介する GREE Tech Conference 2022 がハイブリッドで開催されました。
当日は雨こそ降らなかったものの今年一番の冷え込みで、本当に人が来てくれるんだろうかと心配で仕方ありませんでしたが、結果的には多くの方にご来場いただき、また、多くの方にご視聴いただくことができました。
例によってセッション内容については動画とスライドが全て公式サイトにアーカイブされていますので、本記事ではハイブリッド開催をやってみて実際のところどうだったのか、振り返ってみようと思います。
物理開催決断にいたるまで
そもそも GREE Tech Conference は物理開催を前提としていましたが初年度の2020からいきなりコロナ禍となり過去2回はいずれもオンライン開催でした。
昨年の打ち上げの席で、次こそは物理開催したいよねという話になり、翌日から会場探しと下見を始めました。
(カレンダーを見返してみると、今回の会場となったミッドタウンさんには12/21に行ってますね。)
一旦仮押さえをしたものの、直後にオミクロンが流行したことで、年明けに仮押さえを解除、物理開催は中に浮いてしまいます。
そこから半年経った6月初旬、改めて会場に空きを確認したところ、10/25なら空いているということがわかり、この日に物理開催を決断しました。
開催まで残り4ヶ月半、ここからハイブリッド開催の検討が始まります。
ハイブリッドとはなんなのか
オンラインとオフラインの主従関係
当初は、物理会場とオンラインを同時にやるのがハイブリッド、というぐらいの認識でした。
かつて GREE Tech Talk というのをやっていたのですが、その頃にもハイブリッド開催をやったりしてました。(2014年当時、ハイブリッドのオンライン側はニコ生でしたね、懐かしい)
ただ、当時は物理開催がメインで、オンラインはおまけというのがみんなの共通認識で、主従関係が明確にあったように思います。
今回ハイブリッドを決断した後、いくつかのハイブリッドイベントに参加して感じたことは、物理会場でオンライン参加者の存在が感じられない、逆にオンライン視聴で会場参加者の存在が感じられない、というものでした。
オンラインが主流となった今、物理とオンラインの主従関係が崩れ、物理とオンラインが両方ともメインでないと違和感を感じるようになっていることに気づきました。
よくよく考えてみると、例えば野球やサッカーのようなスポーツであればオフラインでないと成立しませんが(つまり物理会場がメイン)、ソフトウェア産業はオフラインでなくても全然成立するものなので、なんでわざわざソフトウェアの技術イベントをオフラインでやる必要があるんだろう、むしろオフラインいらなくね?みたいな葛藤がこの頃ずっとありました。
悩んでも仕方がないので、カンファレンスの進捗などをつぶやくだけのチャンネルで問いかけてみたところ、通りすがりの何名かが反応してくれました。
こういったやり取りを経て、ハイブリッド開催のなんとなくの方向性が定まりました。
開催まで残り2ヶ月半ぐらいのタイミングでした。
双方の存在を感じてもらうためにやったこと
ちなみに、オンライン視聴者が会場参加者の存在を知る方法として拍手を、会場参加者がオンライン参加者の存在を知る方法としてDiscordのコメントをそれぞれ用意してみました。
これ何のことを言ってるかわからないと思うのですが、会場で拍手をしている(=会場の人はみんな手が塞がってる)のにDiscordのコメントが動くことで、会場にいない人を視覚的に感じることができるし、逆もまた然りということです。
あとはめちゃめちゃ細かいことですが、会場の音声アナウンスだったり、Discordで流すテキストにいちいち会場参加者とオンライン視聴者向けの案内を入れることで、そういえばあっち側もいたなということを感じてもらえるようにしたりしました。
物理会場の最大のコンテンツは人だったのかも
休憩できない休憩スペース
今回物理会場には休憩スペースという部屋を用意しました。
これ自体は特に目新しくもなんともなく、どちらかというと展示も少ないし、休憩スペースと言いながら椅子すらもないので、セッションの合間にチャットやメールを返したりするならセッション会場内の椅子か、廊下に置いてある椅子に座るのがベストな作りでした。
正直、一回目の休憩(=基調講演後)がピークで、その後は徐々に人が来なくなるんだろうなと予想していましたが、実際には最後の休憩時間まで本当にたくさんの方がここを訪れてくれました。
当初、交流ラウンジという名前にしようと思ったものの日和って休憩スペースなどと名付けましたが、参加してくださったみなさんのおかげでこの部屋の価値が高まり、結果として交流ラウンジと呼ぶに相応しい場所となりました。
また、この部屋以外でも会場の広い廊下で休憩時間の度に誰かと誰かが会話してたりしていて、これはもしかしてみんな誰かと喋るために来ているのでは?という思いがどんどん高まっていきました。
オンライン視聴という選択肢が物理会場にもたらしたもの
かつて物理開催が当たり前だった頃、会場には誰かと喋りたい人と、ただただ情報を得たい人が混在してたと思います。(多分)
しかしオンライン視聴という選択肢が出てきたことにより、情報を得るだけならオンラインでいい、むしろオンラインの方が居心地いい、という人が増えたような気がしています。
それが結果的に、誰かと喋りたい人だけが会場まで足を運ぶという現象につながったのではと感じています。
繰り返しになりますが、普段の仕事もリモートで支障なくできているので、カンファレンスもリモートで問題ないはずです。
にもかかわらず、わざわざ会場まで、それも交通費を払ってまで来てくださるということは、情報じゃなく人と話すことがメインなのでは、だからこそ、一回見れば十分な量の展示しかない休憩スペースにみんな集まって、15分の休憩時間を誰かとの会話に費やしてくれたのでは、と思いました。
実際After Partyでも多くの方が最後まで残って誰かと会話をされていました。(撮影時のみマスクを外しています)
本イベントの目的はグリーグループの技術チャレンジを一人でも多くの方に知ってもらうことで、それ自体が変わることはありません。
そのためにもオンラインを外すという選択肢はないでしょうし、アーカイブを残さないという選択肢もないでしょう。
では物理会場は不要なのかと問われた時に、アーカイブが残ることが保証されているからこそ、交流に集中できる場所として物理会場という選択肢は残り続ける、と言える気がします。
「やっぱりオフライン会場に行けばよかったと後悔してもらえる運営」の答えは、もし誰かと話したいと思ってたら、思ってる以上に話せる場所になってたし、みんな話してたよ、ということだったんじゃないかと思ってます。
さいごに
と、ここまで書いて読み返してみると、至って普通のことしか言ってないので、多分体がオンラインに慣れきってて久々のオフライン体験がよかったというだけだったのかもしれません。
オフラインはちゃんと運営できたのかというと、Wi-Fiの案内が不十分で野良が立ちまくり、結果C会場の配信が何度も止まってしまうなどの初歩的なトラブルが発生したり(これについては本当にご迷惑をおかけしました)、オンラインだと会場を移動するのが1秒で済むところを、歩くと30秒ぐらいかかってしまうという初歩的なことを忘れていたりと手放しで喜べる運営ではありませんでした。(後でスマホの歩数計みたら14000歩近く歩いてました)
ただ個人的には今回のテーマである「Beyond Expectations」、期待を超える会になったと思います。
改めまして、お忙しい中ご来場&ご視聴くださいました参加者のみなさま、登壇者のみなさま、会場スタッフ&配信スタッフをはじめとする関係者のみなさま、会場&料理をご提供いただいたミッドタウンさま、本当にありがとうございました。