Akamai Edge World 2019 に参加してきました
開発本部インフラストラクチャ部の大山と佐島です。
本記事は、6月10日から13日に開催された Akamai Edge World 2019 の参加レポートです。
今回は2017年の前回大会に引き続きラスベガスでの開催でした。セッションのメインは後半の二日間で、100以上のセッションが開催されました。
朝から夕方までセッションが続きますが、参加者の殆どは同じホテルで宿泊していることもあり、休憩を取りつつ参加しやすくなっており、混雑もほぼなく快適に過ごすことができました。
オープニングでは、CEOのTomから "Through the Clouds: A View from the Edge" というタイトルでAkamaiの取り扱う領域や環境について紹介されると共に、 Key Differentiator として Media, Performance, IoT, Security の4つが挙げられました。
前回は Media, Performance, DevOps, Security だったそうなので、DevOpsが抜けてIoTが追加された形のようです。IoTは今回のセッション中に実施するデモのためだけに専用アプリを作るという力の入れようでした。まずは送信デモ。こちらはアプリの入った端末をIoTデバイスに見立て、ステージ上でコントロールした色をデバイスへ送信するというものでした。続いて受信デモ。スマホをシェイクし、得られたデータをサーバに送信するというものでした。カンファレンス用に準備されたWi-Fiを使わず、あえて会場のホテルのWi-Fiを使ってデモに参加してみましたが、いずれも瞬時に処理が反映されたことを確認することができました。
Performanceの分野では、サービスとしてAPI GatewayとEdgeWorkersが紹介されました。
Akamai Platform上でのAPIリクエストは増加傾向にあり、5月には月間APIリクエストが2兆を超えたそうです。これは2年前と比較して倍増とのことでした。
AkamaiのAPI Gatewayはエッジサーバーで動作してAuthやCachingを担ってくれるようで、シンプルにAPIをCDNでキャッシュする場合と使い分けられるケースも出てくるのではと期待しています。後ほど担当の方に伺ったところ、今後も機能拡充が予定されており、gRPCにも対応予定とのことでした。
EdgeWorkersはエッジで実行できるJavaScriptのようなもの、と紹介されていて非常に夢がありそうな機能でした。現状まだbetaですがAPIについてはこちらで公開されています。
セッション紹介
Edgeでは多くのセッションがありましたが、その中からいくつかをご紹介します。
The 5G Effect - Assessing The Mobile Future Through An Akamai Lens
Akamai Fellow の Vinay Kanitkar さんによる 5G に関するセッションです。
5G初心者でも理解できるよう、5Gで必要となる以下の技術に関する説明から始まりました。
・Reduced Latency
・Higher Bandwidth
・Network Slicing
基礎的な講義の後、産業界がどのような努力しているのか観測した結果について話が続いていきます。
多くのネットワーク事業者の共通の目標としてはコアネットワークとエッジコンピューティングにありそうだとのこと。
アカマイはというと ETSI という団体に参加したり、EdgeInfra、EdgeMicro といったスタートアップと一緒に実証実験をしているとのことです。
そして今後についてですが、研究とプロトタイプ作成を続けていくとともに、新たなエッジコンピューティング時代のサービス事業者としてネットワークスライシングやLTE-Bなど5Gを運用していくにあたって必要な機能を統合していくとのことでした。
最後に5Gを使ったVoD配信を例に、Akamai Micro Edgesがどのように働くのかという説明で締めくくられました。
Better Than Broadcast: What Good Looks Like
ビデオストリームの品質評価についてのセッションでした。
既存のビデオストリームの品質評価は氷山の一角を測定しているに過ぎないという問題提起から、発表者の方の開発されている SSIMPLUS での取り組みを例により適切な評価方法についての議論でした。
既存の尺度としては以下のものが例示されました。
- Quality-of-Service (QoS)
- ビットレート
- パケットの損失
- ネットワークの遅延
- Quality-of-Experience (QoE)
- バッファリング時間
- 停止時間
- 停止頻度
特に後者に関してはQoEを "擬似的" に測定しているだけであり、人間の品質評価と乖離するケースが示されました。
SSIMPLUSでは実際のユーザーが品質評価をする際のプロセスをベースにしており、ソフトウェアでそれを再現することで0~100の統合的なスコアを算出しているそうです。デモではいくつかの動画に対してのスコアが表示されていましたが、大体において参加者が感じた評価と一致しているようでした。
統合的なスコアというのは誤りがあったときにコントロールし辛いことが多いためあまり好意的ではなかったのですが、紹介された動画はどれも違和感ないスコアリングがされていて、技術の進歩を感じるセッションでした。
所感
弊社ではシンプルなCDNとしてAkamaiを利用しているため、どうしてもCDNの会社というイメージが強かったのですが、Edgeでは一貫してAWSやGCPなどのクラウドとデバイスの間にある "Edge Platform" としてのAkamaiの取り組みや機能が紹介されており、Akamaiに対するイメージが広がりました。