イノベーションが失われた組織から脱却する10のルール

こんにちは!
ガレージスタジオ部  岸田崇志です。

記念すべき『GREE Advent Calendar 2014』1日目の記事となります!
GREE Engineers’ Blogを書くことに憧れて入社したのですが、5年半経ってようやく夢が叶い感慨深いです。

と、前置きはさておき、本題に入らせていただきます。


 

ここ数年大ヒットが生み出せていないグリーですが、会社が大きくなる中でゲームが作りにくい組織になっていました。
そこで、その課題と現在行っている取り組みについて紹介させて頂きたいと思っています。

めっきりクリエイティブなイメージが薄くなってきたグリーかなと思っているのですが、

「グリーらしくない!」と言われるゲームを作ることが私の狙いの一つでもあります。

過去の自分を振り返り会社が大きくなる中で、自分自身の至らないところもあり以下の様なケースがあったかと思っています。

今までの課題事例

  • ゲームの面白さよりもプレゼン勝負になっているケース
    • ユーザー体験よりも、社内で承認を取ることに主眼が置かれている企画書
    • 必要以上に資料が分厚い。数値説明が多いケース
  • プロジェクトの責任の所在があいまいなケース
    • 誰が面白さに責任をもっているかわからない
    • 任されている範囲とそうでない範囲の境界線があいまい
    • プロジェクト中盤以降でも企画が二転三転する
  • チーム内に活気が無いケース
    • チーム内外のメンバーとの交流が少ない
    • ユーザーを楽しませることではなく、タスクをこなすことが仕事になりがち
    • 自分の担当以外には手を出さない/出しづらい
  • 育成に十分な時間を割けないケース
    • 運用タイトルが多く、新規タイトル開発時のプロジェクト進行経験が積みづらい
    • 個人の現在のスキル状況に応じた育成の場が会社として用意されていない
    • プロジェクト終盤でも完成度が上がり切らない

これまでの流れ

これらの課題に向き合う第一歩として、クリエイティブなグリーを目指して今年の頭からCreative Innovation Program(CIP)というものを開始しました。

社内には優秀な人材や経験者がいるにも関わらず、組織の力が最大化できていないというのと、グリーに本来あった「ものづくり力」が失われていることに危機感を感じたためです。

この試みを通じて、共感してくれる方や一緒にものづくり力を高めてくれる仲間も増え、その延長線上にガレージスタジオという組織を設立することができました。

主にNative開発の経験が無い方を中心に育成を兼ね、3ヶ月でNativeタイトルをリリースをするというプログラムを社内で行っています。

自分のスペシャリティを強化することはもちろん、“魂の入った”タイトルをユーザ視点でスピーディーにゲームを作る環境づくりやカルチャー形成も主眼においています。

ガレージスタジオの概要

  • Lv.1 プログラム
    • 1ヶ月でNative開発のツール利用能力、言語能力を学びます。
    • エンジニアやプランナーなど職能に関係なく1人で開発からアニメーションなどの表現力まで通して製品レベルまでクオリティアップさせる力を磨きます
  • Lv.2 プログラム
    • 2ヶ月でオリジナルタイトルをリリースします
    • 企画書ベースでスタートするのではなく、モックベースでスタートします
    • 3日でモックを作るくらいの範囲でそれを2week x 3sprintの計6週間で完成させます
  • その他
    • モックワングランプリという社内横断コンテストを年に2回開催しています

こういった試みの中、想定以上の評価を頂くことができ早速グリーらしくないという評価を頂くタイトルも出てきています。

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CubicTour

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ガレージスタジオ部での10のルール

1.「絵がうまくなるためには、絵を描かないとうまくならない」

  • プレゼン資料では無くモックで語ることを目指しています。大体3日でモックを作り、モックの中で修正点を洗い出していきます。企画書をいくら作り込んでも、ゲームで表現できないと意味がないためモックベースで進めます。
  • 当然企画書は大事ですが、それを実現する表現力の方がもっと大事です。今までは企画書がキレイでもゲームとして実現するところで失敗するケースが多かったため「絵を描くチカラ(ゲームを創るチカラ)」をガレージスタジオで磨きます。
  • モックをベースに指摘し、ゲームルール・演出のタイミング・表現力などをスプリント毎にみんなでレビューします。

2.モックを中心にコミュニケーションする

  • モックベースの狙いは、チーム内にモックを中心としたコミュニケーションを発生させることです。それがゲーム作りの根幹です。メンバーがディスプレーを囲んでアイデアを言い合う環境ができていれば第一関門クリアです。
  • また、私自身も歩き回りながら、みんながモックを中心に何を考え実装を進めているかをコミュニケーションを取りながら進めることも大事にしています。
  • 表現できていない企画の理想部分と、現実の成果物とのギャップや企画としての本質的な狙いもコミュニケーションの中でシンクしていきます。独りよがりになっていないか、クリエイターのエゴになっていないか?ユーザー視点でのものづくりも大事にします。

3.いきなり大人数チームを作らない

  • ゲーム作りにおいて合議制は良くないと思っています。10人以上いてもお見合いになるので、本当にいいアイデアは出てこず平凡なものになります。
  • マネジメントコストは自分の体感上、5名を超すと指数関数的に増えます。
  • 3名くらいでコアを固め、最大でも6~7人くらいでつくり上げられる母体を作る。そのため1~3名程度を中心にチームを組みます。

4.自分の守備範囲を広げる

  • 少人数で作るためには職能に縛られず、自分の守備範囲を広げてもらうことにフォーカスします。一人ひとりが”物を作れる”クリエーターを目指してもらいます。
  • ガレージスタジオの初めの1ヶ月では、エンジニア、プランナーなど関係なく一人で演出面まで含めたゲームづくりの研修を行っています。
  • ユーザーが見るのはゲームです。自分はエンジニアだから、自分はプランナーだからという職能での話ではなく、成果物を見てお互い改善できる能力や視野を磨きます。
  • ゲームがどうやったら完成するか?自分の出来る範囲を広げて協力しながら進めます。誰々ができてないから進んでないなど他責にせず、ゲームをどう完成させるか?といったゴール視点を養います。

5.スクラップ&ビルドを恐れない

  • コンセプトを大事にする。初見で面白いと思えるか?を大事にします。ゲーム作りは平凡な人が10人いても平凡なタイトルしかでてきません。意見の尖りを尊重します。尖ったものも大勢にもまれると丸くなるため、前述したように少数でコアを固めます。
  • ダメなものをダメと言いやすい人数感も大事ですし、壊す怖さも恐れずトライ&エラーを初期段階で繰り返します。これを実現するためにも初期は少数でひたすら壊しまくります。
  • 2ヶ月という制約は、深堀るべき部分と捨てるべき部分を明確にする練習の場です。”ゲームのコアとなる要素は何なのか?”を中心にコアコンセプトの実現と工数とのトレードオフを練習する場でもあります。

6.メンバーによる化学反応を起こす

  • ゲームは一人では作れません。自分の苦手な部分を補ってくれる仲間も大事です。お互いを補ってくれる仲間をうまくマッチングさせることも2ヶ月の取り組みの一つです。化学反応が起きたときは本当に驚くタイトルが出てきます。単純に1+1=2ではないのです。
  • 少人数で仕事以外の部分での理解(趣味や共通点)の理解を深めます。偏愛マップなるものも作ってもらったりしています。一見ゲーム作りとは関係ありませんが、これは、人としての信頼感を形成することが後々アイデアを言い合う環境で生きてくるためです。
  • 例えば、目をつむっても相手に手をひいてもらって道案内を任せられますか?そのくらいの信頼感がヒットを生むためには必要です。誰しも自分は正しいと思って意見を言います。チームでは相手の発言の背景までも理解をして意見を言い合える関係性が大事なのです。こういった取り組みを通して、創造的な議論のために信頼をした上で他人を尊重できる関係性構築を目指しています。

7.チーム全体がユーザー視点をもつ

  • 自分自身や自分自身のチームをごまかさず意見を言い合う環境が大事です。ゲームを作るのは、会社のためではなく”ユーザーを喜ばせるため”です。そこに妥協はあってはなりません。チームの視点合わせもゲーム作りで重要な要素です。
  • チームをレストランに例え、”チームメンバーがみな自分の料理(ゲーム)を美味しいとおもっているのか?それをお客さんに出せるのか?”と問います。レストランのシェフであればその料理をまずいと思ったら出すべきでないと思います。それがレストランの評価につながりますし、ゲームであればゲームの評価です。
  • 守るべきルールとしては、アイデアで気になったポイントは言いっぱなしにせず、自分だったらこうすると言った対案もちゃんと出すこと。ポジション、職種は関係なく「ユーザー視点」でゲームに対して議論ができる環境を目指しています。

8.批評家とクリエーターの違いを知る

  • 批評家になってはいけません。クリエーターになりましょう。
  • 批評家は比較的誰でもなれます。人のアイデアについてどうこう言うことは比較的簡単なためです。しかし、どうしたら良いか?という改善案を出すことは難しいです。それがクリエーター的視点です。自分だったらどうするか?具体的に指摘できる視点と能力を養います。
  • アイデアは性質上基本的に批評にさらされることが多いものです。ゲームのリリースをするまで何を実現したいのか?ユーザに何を届けたいのか意思をもってアイデアを発信し続けるという視点も養ってもらいたいと思っています。

9.”驚き”を作るためには失敗を恐れない

  • ユーザの”驚き”を作ることがガレージスタジオの目標です。しかし、驚きは作り手の無難な判断の中にはありません。
  • そのため失敗を尊重します。挑戦と失敗は紙一重です。失敗を恐れる組織は成長しません。
  • 失敗を恐れていてはいいアイデアもでないため、2ヶ月の研修は、失敗をするための場でもあります。2ヶ月だからこそ踏める失敗や経験できる改善があります。

10.何よりも楽しむ

  • 「楽しんでやってるヤツには勝てない」というのが私のモットーです。
  • アイデアの熱量が高いチームは外から見ても熱気が伝わります。それはゲームを中心としたコミュニケーションが活発に行われているからです。そのため、組織の中に自然と起こるガヤガヤ感を大事にしています。
  • 大きな会社では自分のやりたいことを諦めがちになりますが、自分として本気で取り組めるスタイルも模索します。ガレージスタジオでは本気で勝負する環境を作るアシストをします。人の可能性は無限大です。やる気スイッチが入るとイノベーションは必ず起きるのです。

 

ガレージスタジオより直近リリースの4タイトル

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さいごに…:3ヶ月で残りの人生が変わる経験を

私が目指すのは、
・一緒に働きたい人がいるから働きたい。
・尊敬する人がいるから働きたい。

シンプルにこれだけです。自分が入社したときグリーで働く意味がこれだったからです。

一緒に尊敬する仲間と自分たちが信じられるタイトルが出せて、そして、それがユーザーに認めてもらえる。
そんなことが実現できたらとても素晴らしいと思うのです。

ガレージスタジオで短い時間を過ごす仲間たちは、お互いを尊重し合いながら一期一会を大事にして、ゲームを作ってもらえればと思い私自身も取り組んでいます。

なによりもゲームを創ることはとても魅力的な仕事です。自分自身の作品を世の中に出せるということは、今生きている世の中の人全員に経験をして欲しいくらい感動的な仕事だと思っています。

この数ヶ月がメンバーの5年後、10年後に影響するような時間になると非常に嬉しいと思いますし、
このとりくみを通じユーザさんにもメンバーが作ったタイトルを届けられ、みなさまの人生の一部として触れさせて頂ければ嬉しいと思っています。

毎月、数タイトルずつガレージスタジオからリリース予定です!
これから出てくる作品も楽しみにしていただけると嬉しいです。
明日は岡崎さんによる記事です。お楽しみに!

Author: 岸田 崇志