男性エンジニアリングマネージャが長期育休を取った話

こんにちは、Data Engineering Groupマネージャのmoritaです。
このエントリはGREE Advent Calendar 2014 9日目の記事になります。

今日は、今年前半に半年間の育児休業を頂いたので、そこで感じた事を書こうと思います。会社に育休制度はあるし家族も育休取得に好意的、だけど周囲の眼や復帰後のキャリアが気になる、という方の背中を少しでも押すことができればいいなと思っています。

エンジニアブログなので、エンジニアの視点から見た育休、特に育休とエンジニアキャリア/エンジニア組織の関係性についても書ければと思います。

育児休業のあらまし


まず始めに育児休業の概要を説明します。

育児休業は育児・介護休業法により定められています。法律により、従業員は労使協定で定められた条件(典型的には勤続1年以上という条件が付くようです)を満たす場合に育児休業を取得できることになっています。

休業中の収入は気になるところですが、雇用保険には育児休業給付金という仕組みがあります。

詳しくはこの辺りを参照して頂きたいのですが、父親の場合、基本的に給与の67%(上限285,420円)が、雇用保険から支給されます。この金額、僕が申請したころは同50%(上限213,000円)だったのが、今年4月に引き上げられました。育児休業給付金は非課税であることもポイントです。

多くのサラリーマンはこの給付金を利用して収入を得ることになると思います。

育休を取ると決めてからやった事


ここから、自分の体験談を記していきたいと思います。

育休取得を周囲に伝える

自分の場合、妊娠が判明した段階で育休取得を意識し、上司及びチームメンバーには出産の2〜3ヶ月くらい前に伝えました。制度的には多くの社員が取れる状態であったものの、実際の男性の長期育休は恐らく初、ということもあり、最初伝える時はなかなか緊張しました(結果としては大変快く許諾して頂きました)。長期休業は会社やチームに迷惑をかけるため、取得するのに気後れを感じる事も多いですが、そこを乗り越えるためには、(自分が出来ていたかどうかはともかく)育児休業を申請しても後ろめたくないくらい普段から働いておく事が重要だなと感じました。

取得に際しては人事部の方にも大変好意的にサポートして頂きました。グリーの場合、男性の育児休業にもポジティブな反応が多く、恵まれた環境だなと感じています。

自分が抜けて、また戻る事を想定したチーム作りと引き継ぎ

育休前の自分は各ゲームのデータ分析環境を整えるエンジニアチームのマネージャをしていました。育休取得前から誰が抜けても問題無いような組織作りを進めていましたが、取得を決めてからは更にその試みを押し進めました。また、マネージャが交代することになるので、クリティカルな問題とその解決方針を一旦明確にしたり、システムの歴史的経緯を共有したり、マネージャレイヤで閉じがちなステークホルダ/関連部署との関係性や接し方といったものをメンバーにオープンにするよう努めました。

なお、チームとしては2012年ごろから分析サービスのTreasure Dataを導入していたのですが、結果的に外部サービスを利用していたことが、システムの属人化を防ぎ、長期休暇を取得しやすくしてくれたと感じます。Treasure Dataの場合、fluentdを含めてシステムも安定しており、また開発メンバーがtwitterやgithub等オープンなスペースで活発に活動しているので、休業中でも動向をtrackしやすかったのも助かりました。

引き継ぎに関しては、復帰後また一緒に働く事になった時にスムーズに合流できるよう、できるだけ丁寧に引き継ぐようにしました。急な異動や退職等でチームを離れる場合、時間が足りなかったりモチベーションが足りなかったりして残される人の事を考えることがなかなか出来なかったりしますが、育休は準備期間が半年以上あり、復職することも確実なため、かなり丁寧に引き継ぎを実施する事が可能だと思います。

育休中にやった事


昨年末に長男が産まれ、無事育児休業に突入です。

仕事の大変さを思い出して乗り切ろうとする

育児で一番辛かったのは夜泣きに伴う睡眠不足です。我が家の場合、2〜3時間寝て30分泣くというパターンで体力、精神力ともに削られます。

ただ、育児も大変ですが、仕事も色々と大変な事がありますよね。育児の大変さと仕事の大変さ、それぞれを比較することで心が落ち着きます。

具体的には、夜中起こされるたびに障害アラートが鳴り続けた経験を思い出しながらの対応です。夜泣きは病気等でない限り対応方法が決まっているので、原因不明のアラートに比べれば辛くないのです。とはいえ毎夜毎夜続くのは相当厳しく、家族として役割分担やローテーションをしっかり決めることが何より大切だと痛感しました。

参考:出産後の女性の状態について

出産後はローテーションで家事、育児を回すことが重要だと思います。ただ、出産後の母親はちょっと想像できないほどに肉体を酷使しているようで、「床上げ3週間」と言うように、身体の事を考えれば数週間程度はできるだけ何もせずにいた方が良いようです。母乳等の問題があるので育児に母親は必要になってくると思いますが、もし可能であれば、その間だけでも父親もしくは祖父母等がメインになって家事、育児を回せるといいと思います。

参考:育休期間をどう決めるか

自分が今回育休期間を半年に設定した理由は、

  • 半年後ならなんとなく社内の様子が想像でき、仕事に復帰できる目処があった。1年後は正直社内の様子が想像出来なかった
  • 友人に相談したところ最初の半年が一番大変だと言っていた

という2点です。育休の長さについては、先輩お母さんの意見を傾聴するのも良いと思います。特に初めての子供の場合、育児の大変さを実感してから育児休業を申請しても間に合わないので、いかに大変かということを予め知っておくことも重要かなと思います。

在宅勤務のシミュレーションをしてみる

恐らく多くのエンジニアと同様、自分も在宅勤務に憧れがあったため、良い機会だと思って趣味的な活動で試してみました。が、実際やってみると子供の泣き声を無視してキーボードを叩き続けるのは大変難しく、家庭での仕事の難しさを実感しました。保育園に入ったりすればまた違うとは思いますが、何事も体験してみるのは重要だと感じます。

復帰後の仕事、感じた事


あっという間に半年たち、社会復帰です。

会社は恵まれている

育児中は一日中室内で過ごすことも多かったため、コーヒーが飲みたければすぐスターバックスにいける環境はなんて素晴らしいのだろうと思い、会社に来るのが楽しくなりました。お昼ごはんを外で食べたり、通勤中に本を読んだりする時間も大変贅沢に感じられます。

それ以外にも、グリー固有の状況としては、パパママ補助制度が充実しており、家族の傷病等を理由に在宅勤務や特別休暇を取得できるのがありがたいです。また、子会社がスマートシッターという子育て支援サービスを展開しているのですが、こちらの割引利用も可能になっています。

復帰後の仕事について

休業中にチームの統合があり、ゲームだけでなくプラットフォームも含めたグリーの分析基盤全体を見るチームのメンバーとして復帰しました。最初はやはり「元マネージャ」がチームに居るということで周囲に気を使わせてしまったと思います。業務以外にも飲み会や勉強会等を通じて新しく同僚になった方々と交流したり、休業前には触った事の無かったシステムを技術的にキャッチアップしたりしながら、復帰後2ヶ月程度経たところで休業前とほぼ同じポジションに戻りました。また、その間、社内の色々な方とランチに行ったり、社外の勉強会に出向いたりして、状況把握に努めました。

エンジニアは会社に居なくてもスキルアップやネットワーキングができる、比較的育休取得リスクの少ない仕事だと思います。育休中の時間を活用することで復帰後の仕事に対するリスクヘッジも可能かなと思います。

半年も休むと、やりなれたはずの仕事にも新鮮味が産まれ、モチベーション高く働けます。会社と全く違う環境での気付きやネットワーキングが業務にもプラスの影響を与えてくれている気がします。育児という激務で体重も減り、身体も軽いです(これはすでにリバウンドしつつありますが、、)。

更に、意外と大切だと思うのが、育休を取った事による家庭環境の安定化です。出産後の妻の心身にわたる負担を少しでも軽減できたことや、半年間の育児経験のおかげで復帰後もある程度育児に手が回ることによって、安心して仕事にも取り組めていると思います。

今後、共働き等になれば更に状況が変化すると思いますが、パパママ補助制度を活用したり、短い時間で成果を出せるようにしたりして、なんとか対応していければと思います。

まとめ


以上、自分の経験から感じた事をつらつらと記述させて頂きました。1年近く仕事から離れたり、メンバーが抜けたりするのは確かに厳しい話ですが、取得前後のモチベーションの高さ、会社とまったく違う環境で得られる気付きや人脈、誰かが抜けることを想定した組織作り、安定した家庭環境など、育休にはエンジニアとしてのキャリアや(フェーズによると思いますが)エンジニア組織にとってもポジティブな面があると思います(育休を取らないとこれらが得られないと思っているわけではないです、念のため)。勿論、育児の負担をシェアできる利点は言うに及ばないと思います。

まとめの最後に

最後まで読んだけどまだピンとこないという方は、ぜひ身近にいる「お母さん」の意見を聞いてみて頂けないでしょうか。自分が育休取得の話をしたとき、「男性の育休はあまり必要ないと思う」というような反応をしたお母さんは一人もいませんでした。実際に育児を体験した方の意見を聞く事で、より適切な検討が可能になるのではないかなと思います。

このエントリが、一人でも多くのエンジニアのお役に立てばいいなと思います!


明日10日目はnagaseさんによるエントリです!

引き続きGREE Advent Calendar 2014をお楽しみください!

 

Author: morita