re:Invent 2019 にみんなで参加してきました
グリーでは今年も10名参加させていただきましたので、今回のre:Inventの様子を各カテゴリごとに参加メンバで分担して、レポートさせていただきます。セッション以外にも、現地での雰囲気や行ったからこそお伝えできるレポートをさせていただきます!
全般
開発本部の舟橋です。
re:Inventの会場は複数のホテルにまたがって実施され、自分の聞きたいセッションやワークショップに参加することになるので、日中は適宜メッセンジャー等を利用して情報共有をしつつ、夜は基本イベントが入っていたのでお酒を飲みながらその日の情報交換や、業界問わず他社様と交流をさせていただき毎日昼夜ともに刺激の多いカンファレンスでした。
帰国後も、AWS様主催のrecapもあるのでカンファレンス中に聞き漏らしたもの等あっても安心なので、出張される方も日本で見てる方もぜひそちらにも参加されるといいかなと思います。
気になったセッション
開発本部の反田です。re:Inventではさまざまなテーマに関するセッションが開催されており、選ぶのに迷ってしまうほどなのですが、AmazonやAWSによる事例紹介のセッション、サーバサイドのパフォーマンスに関連したセッションを中心に参加してきました。
特に印象深かったNetflixによるサーバサイドのパフォーマンスに関するセッションをご紹介します。
NFX207 Benchmarking stateful services in the cloud
NetflixでCassandraのようなstatefulなサービスをどのようにベンチマークしているか、具体的な方法が紹介されていました。
statefulなサービスはスケールアウトが容易ではなく、さまざまな要因でパフォーマンスが変化するため、ベンチマークの重要性が繰り返し強調されていました。
ベンチマークのプロセスは自動化され、AMI更新時だけではなくインスタンス起動時にもベンチマークが実行されるそうです。
特に素晴らしいと感じたのは、設定などの構成変更時にパフォーマンスがどう変化したかをグラフで比較できるようになっている点です。
ベンチマークのプロセスが体系化されており、継続的に回しつづけられる仕組みを構築しているのはさすがだと思いました。
OPN303-R BPF performance analysis at Netflix
Brendan Gregg氏によるeBPFを利用したパフォーマンス解析の紹介です。
セッションはとても人気があり、開始20分前の時点ですでに入場待ちの列が3列できていました。
eBPFはさまざま用途に使えるのですが、いわゆるトレーシングツールとしても使えるもので、カーネル自体に変更を加えることなくカーネル内部の挙動を調査できます。
最初にWi-Fi強度を音声に変換するデモがあり、その後、eBPF内部構成やパフォーマンス解析ツールが紹介されていました。
Disk I/O latencyを集計するツールなど、弊社のサービスでも活用できそうなツールがあり、eBPFの可能性を感じるセッションでした。
ワークショップ・Chalk Talk について
IOT406-R Deep dive with Amazon FreeRTOS
開発本部の松澤です。日頃のインフラ業務では主にlinuxを利用しているのですが、流行りのロボットやドローンを作ろうとすると複雑な処理やスケジューリングをしないリアルタイムOS(以後RTOS)の方が向いている時があります。AWSがIoT分野で力を入れているのが、オープンソースのRTOS、 Amazon FreeRTOS (a:FreeRTOS)です。
私は、趣味でESP32やArduinoを使うことが多くRTOSに興味があったので、Amazon FreeRTOSもいずれ触ってみたいと思っていたところ、"Deep dive with Amazon FreeRTOS" なるセッションを見つけ、業務と何の関係もない単なる思いつきの軽い気持ちで予約して行ってきました。
記念すべき初セッションを聞くだけのつもりで来たわけですが
5人席に1人講師のフォーメーション
...噂に聞く英語で議論するBuilders Sessionじゃないですかね...まさか (そのまさかでした)
写真の右 で仁王立ちしてるのが、講師です。
参加者5人中、英語カタコト勢は、私だけでしたが、心配はいりません。グローバルの方は、ビックリするほど、イケメンなんです。私は知ってます。(と自分に言い聞かせ実際そうでした)
どう進行するかというと、はじめは参加者ひとりひとりとの握手と挨拶ではじまります。これといって混みいった自己紹介とかはありません。多少、日常会話はあります。そして、セッション用のスライドで、FreeRTOSの基礎的な説明やこれから取り組むワークショップの内容を指示されるのと、GitHubリポジトリのReadmeを教えてくれます。あとは、質問さえできれば、英語で議論ができなくても問題なくワークショップは進行できました。すでに、Amazon FreeRTOSとESP32の基礎知識はあったのもありますが、Session Level が Expert でも心配は不要だったなと思いました。
re:Inventのワークショップでは、質問しない限り会話が発生しないため、技術的な英会話をしていきたい人には Builders Session の方が、コミュニケーションを通しての深い理解ができたりと満足度は高いのではないかと思いました。
GPSTEC329 Container logging: Best practices for consistency
開発本部の角野です。AWS のコンテナサービスにおけるロギングのベストプラクティスについて、Chalk Talk と呼ばれる形式でセッションが行われました。
Chalk Talk では、通常のセッションのように話者がスライドを使ってプレゼンするだけでなく、聴者は挙手することでいつでも発言を割り込むことができます。
セッションの内容としては、コンテナ環境特有のロギングの難しさを説明した後、Sidecar を使う方法と DaemonSet を使う方法を比較説明した上で、Fluent Bit を使う方法を紹介するといった構成でした。
聴者からは費用面を意識した意見や収集したログの分離についての質問などが投げかけられ、活発に議論が交わされていました。
FireLens の登場によって、Fluent Bit の利用は有力な選択肢になったと思います。個人的にはまだ触ることができていない機能だったので、是非試してみたいと思いました。
EBC でのフィードバック
開発本部の駒崎です。AWS では節目節目で Executive Briefing Conference (EBC) と呼ばれるカスタマーとのミーティングを設けているということで、弊社も re:Invent で行われた EBC に参加させていただきました。 このミーティングは AWS の各サービスチームとカスタマー企業の間で行われるもので、私たちカスタマー側からは実際のユースケースや困っていること、要望などを AWS のサービスチームへ直接(!) お伝えし、議論することができる場となっています。今回私たちは、
- Amazon EKS Deep Dive
- Monitoring and Observability
の 2つのトピックについて EBC を設けていただきました。 いずれも事前に AWS Japan の担当ソリューションアーキテクトの方と課題をリストアップ、具体例の説明を準備し、それをもとに進行する形をとっています。
EBC: Amazon EKS Deep Dive
EKS を中心にコンテナ関連のフィードバックをしました。 弊社グループでは大規模環境への Kubernetes 導入が順次進行中なのですが、そういった背景をもとに
- Kubernetes と AWS サービスを連携した際の API 呼び出し回数とスロットリング
- ALB Ingress Controller と各種タイムアウト設定
- ECS/EKS Web コンソール、マネージドサービスの範囲
などをテーマとし、実際に遭遇した課題について議論を行いました。
EBC: Monitoring and Observability
CloudWatch を中心としたフィードバックをしました。 弊社インフラでは CloudWatch を直接さわるよりも prometheus にエクスポートした上でメトリクスを扱うことが多いので、それらのユースケース詳細をお伝えし、以下のようなトピックについて議論を行いました。
- 追加してほしいメトリクス、ゼロ値と無効な値の区別
- タイムボックスごとに値が確定するタイミング、 API での判別方法
- メトリクス集約時の limit
- CloudWatch でのタグのサポート
EBC を終えて
やはり直接 AWS サービスを提供している方々と同じ空気でお話できることは大変貴重な経験と感じます。私たちの課題をお伝えした際に、AWS サービスチーム側でも同様に課題と認識されているとわかることもあれば、逆に、なぜそれが課題なのか? という展開もあり、その場合は私たちの使い方が サービスチームの想定するベストプラクティスから離れていっているかも?という気づきにもなりました。
まとめ
開発本部の堀口です。昨年に続き、今年も大勢での参加でした。継続して参加したひと、 re:Invent は初めてのひと、海外出張も初めてのひとがおり、それぞれの学びがありました。
全員に共通するのは、とにかく参加してよかったということ。カンファレンスとしても 65,000 人以上の参加者がいて、そのほとんどが日本人ではないので、強い刺激を受けていました。初日の MidnightMadness から終盤の re:Play のようなお祭り感も強く、 Expo では T シャツや靴下だけでなくドローンなどの景品まで配っていたり、会場でふるまわれる多種多様な食事についてなど話題が絶えない毎日でした。ラスベガスという街はあらゆるところが東京の日常とは大きく違い、ささいな生活でも話題になるような盛り上がりでした。観光をしたり、おみやげを買ったり、カジノで遊んでみたり、皆思い思いに行動していました。
一方で予想以上に寒く風邪をひいてしまったり、連日の懇親会で体調を崩してしまったりなどもありました。意外と朝は忙しくてグリーの定時とされる 9:30 どころか、 8:00 でも遅いぐらいの行動力が求められ、朝食をとらないまま講義を受けることも多々あるので体調管理の難しさを感じていました。また、事前に計画したスケジュールではなく直前や初日に現地の雰囲気を見て行動を変えることも多く、余裕の少なさを痛感しています。現地での連絡や情報交換がスムーズにいかないこともあり集団での効率をうまく出せないこともありました。スピーカーへの質問や EBC では英語力を求められるので、出来る人とできないひとで行動に制限もできてしまいます。
- カンファレンスは全体を通してお祭り。ラスベガス全体がお祭りで圧倒される。
- 体調管理は大切。自信が無いときは懇親会などは断り翌日に備える。
- スケジュールは現地で変わっていくことを前提にゆるっと組む。観光やカジノ、ショッピングの時間も大切にする。