GREE Tech Conference 2024 ご参加ありがとうございました
こんにちは。開発企画部の佐島です。
10月25日(金)、グリーグループの様々な技術チャレンジを紹介する GREE Tech Conference 2024 が東京ミッドタウンとYouTube Liveのハイブリッドイベントとして開催されました。
会場および開催形式は昨年と同様のため、今年新たにアップデートした点について共有いたします。
セッション内容は動画およびスライドが公式サイトにアーカイブされていますので、そちらをご覧ください!
企業が主催する技術カンファレンスのジレンマ
詳しくは昨年書いたのですが、企業側が提供したいセッションと参加者のニーズが一致しないという課題があります。
一口にエンジニアと言っても取り扱っている技術の幅が広いため、セッションの数は一見多そうに見えるが参加者にとって自分に関係ありそうなセッションは案外少ない、という現象が簡単に起きてしまいます。
昨年、この課題を解消すべくグリーグループの全体像を掴んでもらう構成の基調講演に変更したのですが、結果として基調講演で興味を持ったからセッションを聴きに行ったという声を耳にすることはほとんどなく、全くと言っていいほど手応えがありませんでした。
今年は企画段階から徹底してこの課題と向き合い、今年のテーマ「Hackpackers」にたどり着きました。
今回の基調講演「今この時代にエンジニアとマネージャーが考えるべきことを1つだけ」に倣い、今この時代に企業主催の技術カンファレンスで主催者が考えるべきことを1つだけ共有させていただこうと思います。
今この時代に企業主催の技術カンファレンスで主催者が考えるべきことを1つだけ
結論から先に言うと主催者として考えたことは「技術や人を知ってもらう接点を増やす」です。
わたしたちはこれまでセッションという形で技術チャレンジを発表してきました。しかし、限られた時間の中で1年間の取り組みを網羅することは現実的ではありません。
さまざまな事業領域で、さまざまな技術チャレンジをしているにも関わらず、みなさんに共有できる技術トピックはほんの一部でした。もっとたくさんの技術チャレンジを共有し、もっと意見交換したいという思いから、今回はセッションに加え、グループ子会社のブースを出展することにしました。(公式ページより)
GREE Tech Conference 2024 では接点を増やす試みとしてブース出展を行いました。とはいえ接点を増やすこと自体が目的ではなく、接点を増やすことで技術や人を知ってもらう機会を増やすことが目的です。そのため、ブース出展を中心としたいくつかの施策を実施しました。
具体的にどのような施策を実施したのか、細かく見ていきたいと思います。
ブースの導入
まずはそもそもブースを導入するに至った背景を説明したいと思います。
GREE Tech Conference 2024 の企画を考え始めた頃に「技術カンファレンスのマスターガイド」という書籍が技術書典で頒布されたので早速入手し、第1章にターゲットオーディエンスの特定という項目があったので、ここを1ヶ月くらいかけて掘り下げました。
ターゲットオーディエンスを特定したのち、このオーディエンスの行動とカンファレンスに求める価値を時系列で整理し、それを実現するために必要な要件をマッピングしていきました。(いわゆるユーザーストーリーマッピングを行いました)
その結果、設定したオーディエンスはセッションだけだと参加に至らないということがかなり明確にわかりました。
この理由は明白で、ターゲットオーディエンスに設定したのは情報ではなく体験を求めている人だったからです。
そもそも情報はセッションという形で提供しており、全てのセッションはアーカイブで手に入る設計になっています。
つまり、体験はセッション以外で提供する必要がありました。
体験を提供する場として現地とオンラインという選択肢があるのですが、やるなら現地で提供しようという方向になりました。
もちろんオンラインで体験を提供する方法はいくつもあるのですが、After Partyという現地でのみ行われるコンテンツがある以上、現地での体験価値を高める方向で検討した方がよさそうというのは自然な流れだったのかなと思います。
あれこれ考えた結果、事業子会社や開発部門にブースを出展してもらい、そこで交流してもらうことで接点を増やすというアイデアにたどり着きました。
このアイデアを思いついた当初のブースのイメージというのは、いわゆるスポンサーブースであり、そもそもイベント運営を自費で賄っている企業カンファレンスに協賛という概念などなく、ブースの存在は違和感でしかありませんでした。
その後、いくつかのカンファレンスに参加し、ブースとセッションが連動していることに気づき、ブースはセッションを紹介する場、セッションはブースを紹介する場という建て付けなら上手くいくのでは?と思えるようになりました。
そこで、1社でも反対があったらこの企画はボツにしようという覚悟を決めて4月頃に各所へ打診しました。
(ブース企画書 p2より)
(ブース企画書 p5より)
幸いなことにどの部署からも「なんかよくわからないが協力するよ」という前向きな回答を頂けたため、半信半疑のままブース企画をスタートさせました。
結果的に非常に多くの接点をブースを中心に作れたこと、開催後にブース担当者から来年もやりたいという声を多数いただけたことから、上手くいったと感じています。
それよりなにより、セッションだと技術領域が幅広すぎることが悩みの種だったにも関わらず、ブースになったとたんにこの考え方が完全に逆転したことに自分自身が驚きました。
多様性のあるブースがずらっと並んでいる光景を見ると、いろんな技術領域でいろんなエンジニアが活躍してるんだなということが感覚的に伝わり、今では、あれほど頭を悩ませていた幅広い技術領域が、むしろ幅広くて良かったと感じるようになっています。これは大きな発見でした。
コワーキングスペースの導入
せっかく現地まで足を運んでもらっても、会場から離れられてしまってはサービスを提供できません。
ほとんどの参加者は仕事を休んで参加しているわけでもなく、カンファレンスの最中にリモート会議に参加したりする必要がある中でご来場いただいているものと想定し、会場から離れることなくカンファレンスを楽しんでいただけるよう会場内にコワーキングスペースを導入しました。
多くの参加者から感謝の言葉をいただけたため、導入して良かったと感じています。
実は昨年も一昨年も電源コーナーは準備していたのですが、あくまでも休憩コーナーの一角に用意しただけで、がっつり仕事をしてもいいという空間にはなっていませんでした。
今回「この部屋はカンファレンスを忘れて仕事をしてもいい場所です」というのを明確に提示することができたので、多くの方にご利用いただけたものと思っています。
(カメラマンにもこの部屋は撮影しないようにお伝えしました)
オフィスツアーの導入
カンファレンスに参加する前に、ちょっとだけ特別な体験ができれば、現地参加したくなるのでは?という仮説のもとオフィスツアーを企画しました。
当初は、VIPサービスを提供するという方向で考え、少し早く会場へ来てもらって登壇者と一緒にランチを食べるというアイデアなどを考えていたのですが、どれもこれも決定打を欠いていました。
最終的に離れた場所にあるオフィスを見学してもらい、その後バスで会場へ移動するという体験を提供しようということになりました。
バスの定員がオフィスツアーの上限となるため24名限定で募集を開始したのですが、あっという間に満席になったのでこの施策は現地参加に対して一定の効果があったのかなと思っています。
謎解きの導入
謎解きはfreeeさんの技術カンファレンスである「freee技術の日」で実施されていました。技術カンファレンスで謎解きをやるというのはおそらくfreeeさんが元祖だと思います。
当初、自分の興味のあるセッションがない時間帯の暇つぶしコンテンツぐらいの感覚で導入を決めたのですが、実際には驚くほど多くの方に楽しんでいただくことができました。
どのような内容のものだったのかについては、後日、謎を作ったエンジニアから解説ブログが出る予定ですのでここでは割愛させていただきます。
ここでは謎解きで完全に想定外だったことを2点共有させていただきます。
1点目は運営スタッフとの接点がものすごく発生したことです。
謎がわからない人への救済措置として運営スタッフに話しかけたらヒントがもらえますという、苦肉の策の難易度調整が、結果的に想定以上の参加者と謎解きを通じて接点を持つことに繋がりました。
イベントの後半に差し掛かるにつれ話しかけられる頻度が急増し、トラブル対応をするために廊下に出たにも関わらず、待ってましたとばかりに声をかけられ、非常に複雑な気持ちになりました。
2点目は徒党をその場で組んで謎解きに挑戦している参加者が多く見られたことです。
明らかにソロ参加の方同士が一緒になって謎解きに参加されているのを見て、現地参加者同士の接点を増やすきっかけになっていることを実感できました。
スナックラリーの導入
スナックラリーというのは造語でして、要はスタンプラリーのことです。
スタンプラリーはブース訪問者との接点を増やす施策としては鉄板で、ブース展示をする以上スタンプラリーは外すことのできない施策です。
当初は普通のスタンプラリーで企画を進めていたのですが、ブースにノベルティを置く方が良いのではないかという意見が出ました。
運営側から無理やりブース出展をお願いしているのに、ブース担当者に手ぶらでブースに立ってもらうわけにはいかないよねというのが発端です。
ノベルティ感のあるスタンプってなんだろうというところから始まり、いろいろ検討した結果、各ブースのロゴが入ったお菓子を集めるというアイデアが出てきたので、それをスナックラリーと呼ぶことにしました。
スタンプの台紙の代わりに、集めたスナックを入れるための入れ物を用意しなければならないのですが、正直邪魔になるだけのものにコストをかけたくないよね、ということで、最終的に台紙は共用する形に落ち着き、観覧車のモチーフとしてまとまりました。
参加された方から「エンタメ企業っぽいですね」という言葉をいただくことができ、エンタメ企業っぽい接点の増やし方を実現できたのが良かったかなと思っています。
さいごに
「技術や人を知ってもらう接点を増やす」という軸を決め、そこからHackpackersというテーマを導き、ブースを中心とした施策で当初の目的を実現することができました。
とはいえ、手放しで喜べる状況かというと、まだ課題が残っていると感じています。
具体的には、社員がブースや謎解きなどの企画にあまり参加できていなかったという点です。
外部参加者をお迎えする立場にあるという暗黙の了解が社員の参加にブレーキをかけているような気がしています。
運営としては、外部参加者であろうと社員参加者であろうと、同じようにカンファレンスを楽しんでもらいたいので、この点については来年の宿題になったかなと思っています。
(とはいえ、After Partyの抽選会で社員が当選すると、外部参加者に譲って!という気持ちになる自分もいたので、自分自身もアップデートしなければと感じています。。)
改めまして、会場とお料理をご提供いただいた東京ミッドタウンさま、会場スタッフ&配信スタッフをはじめとする関係者のみなさま、初の試みであるにも関わらず手を上げてくれたブース担当者のみなさま、登壇者のみなさま、お忙しい中、ご来場およびご視聴くださいました参加者のみなさま、本当にありがとうございました。